流氷関連用語解説

・な・・や・・わ

【あ】

海岸からの視界内の流氷の密接度が半分以下(流氷量が5以下)となり、その後多少の増減はあっても、長続きせずに流氷終日を迎える状況となった最初の日(沿岸水路ができて、船舶の航行が可能になった最初の日)。

【か】

海水が凍結してできた、海で見られるすべての氷。海水が凍ったことをはっきりと示し、川の氷、湖の氷、氷山と区別するための言葉。川の水が凍ったものは「河川氷(かせんひょう)」river ice、湖の水が凍ったものを「湖氷(こひょう)」lake iceという。一般的に陸にできた氷の「陸氷(りくひょう)」ice of land originと対比させて使われる。

風がおだやかで寒さの厳しい日、陸の寒気がゆっくりと海に流れ出して、海面の水蒸気を冷やしてできる濃い霧。「氷煙(ひょうえん)」frost smokeともいう。

海明けの頃、下層の海水に接した空気は冷たく上層は暖気で、空気のレンズができる。空気中を進む光線は、暖かい方から冷たい方へ曲がる。春、気温が上昇してくると、水平線の向こうの流氷から発した光線が、上空から地上へ曲がって目に入るので、流氷が宙に浮いたり、縦に伸びて巨大なビルのように見える。これが幻氷で、蜃気楼現象の一つである。

港内で初めて新成氷が生成された日。

氷板が割れて水面が顔を出す。氷板の側面から薄い氷の枝が伸びていく。

【さ】

海明けも過ぎた岸辺付近に、孤立した氷塊が残されている。陸に積み重なった流氷塊や座礁して動けなかった流氷も、春になると融けて軽くなり、潮によりゆっくりと沖に流れ出す。

海面付近の大気の上下の温度差が大きいとき、光の異常屈折、いわゆる蜃気楼現象により、丸い太陽が歪んで四角に見えることがある。

地元の人たちは、その沿岸の海水自体が凍ってできた氷を「地氷」、あるいは「地場産氷(じばさんごおり)」と呼んでいる。これに対して、沖合で生まれて流れ着く氷は「舶来氷(はくらいごおり)」と呼ばれる。

結氷により新しく形成された氷の総称。

海氷域内の海水面で船舶の航行が可能な狭い通路。なお、氷で囲まれた、輪郭が直線的でない広い海水面は、開放水面、ポリニヤpolynyaなどと呼ばれる。

視界内の全海面に対し、この中に存在している全海氷の占める割合。10分位法で示す。毎日一回定時の観測で、視界中全域を海氷が覆った場合が10、見かけ状5割を占めた場合が5、全くない場合は0として表す。

【た】

海岸に接して形成された、定着している海氷。その場の海水が凍結するか、流氷が海岸に凍結して形成される。

【は】

まだ軟らかい新成氷は、海のうねりで簡単に割れ、角張った氷板(ひょうばん)になる。氷板は互いにぶつかり合って、角が削られ、縁がまくれ上がった円盤状の氷の群れとなる。蓮の葉に似ていることからこう呼ばれる。

氷晶の密度が増すと、シャーベット状から板状の軟らかい氷に発達していく。

寒さの厳しい日でも、氷の下は気温よりはるかに温かい海水で満たされている。海氷の内部の細い隙間や氷の割れ目から海氷の表面に顔を出した水蒸気が、急に寒気に触れて結晶化したもの。一面の氷の花園となる。

海水が結氷温度まで冷え、氷晶が発生している時期、岸に打ち上げられた波は氷晶や砕氷だけを陸に残して海へ戻っていく。これを繰り返していくうちに、海岸に沿ってできる氷の壁が氷脚である。砂を含んでいることもある。

浅瀬で波にもまれ、角が削られた氷の玉の群れ。

氷板同士が互いにぶつかり合い、押し上げられてできる氷の丘。山脈状に連なる氷丘は「氷丘脈(ひょうきゅうみゃく)」pressure ridgeと呼ばれる。

見渡す限りが流氷で覆われると、ここが海であることが想像もできないような白い世界に変わる。人々は陸の雪原になぞらえて氷原とか「氷野(ひょうや)」と表現する。

海水がマイナス1.8℃まで冷えると、海水中に雪の結晶に似た小さな針状、板状の氷の結晶が発生する。これを氷晶という。海水よりも軽く、互いに絡み合いながら海面に浮上し、氷の膜になって海面を覆う。

比較的平坦な氷盤を意味する一般用語。専門用語では、直径が20m以下の比較的平坦な氷盤を「板氷(ばんぴょう)」と呼ぶ。

比較的平坦な氷盤を意味する一般用語。専門用語では、直径が20m以下の比較的平坦な氷盤を「板氷(ばんぴょう)」と呼ぶ。

【ま】

ある氷域に対し、その中の氷に覆われている海氷面の占める割合を10分位法で表したもの。

【ら】

岸に定着せずに、漂流している氷。海で見られる氷は、その運動形態から、海を漂っている「流氷」と、岸にへばりついている「定着氷」とに分けられる。組成に注目すると、いずれも海水が凍ってできた氷、「海氷」である。ただし、一般用語の「流氷」は、河川からの氷も、氷山や氷河が崩れた氷も、海を漂うすべての氷の意として広義に用いられる(世界気象機構海氷用語集の「浮氷」に相当する)。

流氷初日から流氷終日までの日数。

流氷が風、波によって海岸に押し寄せられ、陸地に積み重なってできる氷の山脈。厚さ20~30cmの氷板が折り重なり、時には高さ10m、長さが数十mに及ぶこともある。

視界内の海面で流氷が見られた最後の日。

視界外の海域から漂流してきた流氷が、視界内の海面に初めて現れた日。

密接度7/10以上の流氷群が視界内海面(または定着氷)のほぼ8割以上に接岸し、沿岸水路がなくなった最初の日。

もみ合って丸みを帯び、海水に浮いている氷塊群。「球状氷塊(きゅうじょうひょうかい)」round ice clustersともいう。

陸に乗り上げた氷塊や氷脚が、日射や暖気で融けてできるツララ。

流氷期間中に実際に流氷の観測された日数。

港内を除く視界内の全海面に対し、この中に存在している流氷又は沖合の新成氷の占める割合。10分位法で示す。積算流氷量とは日々の流氷量を合計した値。

※参考:雪氷辞典、気象庁海氷用語、北大流氷研究施設の解説、当センター所長・青田昌秋による解説など